今回は関節の痛みの原因について考えます。
軟骨は痛くない
骨の先端、関節部分には、関節軟骨(黄色い部分)があります。
膝の痛みでお悩みの方が、「関節の隙間が狭くなって、骨が当たって痛い」、「軟骨がすり減って痛い」と言うのを聞いたことはありませんか?
こういわれるとあたかも軟骨そのものが痛んでいるように思いがちですが、実は関節の軟骨には神経も血管もありません。なので当たってもすり減っても、軟骨だけの問題であれば痛みは感じないのです。
え?でも、実際は痛いんです。
確かにそうですよね。
この場合、痛いのは軟骨ではなく、関節包(青い部分)とよばれる関節のまわりにある袋なんです。
関節の痛みは炎症
軟骨がすり減ったりするとすり減った物質が関節包内に遊離します。そんな異常を修復するために白血球が集まって来て関節包の滑膜に炎症が起こります。その際に発痛物質が関節内に放出され、神経が多く存在する関節包や関節靭帯の受容器が刺激され痛みを感じているのです。
自発痛と運動時痛
関節が痛む場合、何もしなくても痛い場合と動作時のみ痛む場合があります。
何もしていなくても痛む場合は先の炎症によるものと考えられますが、動作時のみに痛みがある場合は、発痛増強物質と言われる物質が作用して受容器の感受性が高くなり、通常は痛みと感じない刺激でも痛みを感じるようになっているからと考えられています。
慢性症状
いままでのお話は急性の症状でしたが、関節リウマチなどの慢性の場合は、やはり炎症なのですが急性期とは関係している物質が異なり、痛みとともに関節を破壊して物質が浸潤するため関節の変形などがおこります。